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激闘(後)

体調の変化が現われたのは7日目以降。入院が3日だったので週明けの診察後でやっとのこと汗をかきはじめたのだ。それでも体温は39度前後をさまよい続ける。
波は遥か上方視界を外れてやってきたが、この頃になると波の大きさが判る感覚になってきた。
体温の高さにもなれ頭痛もいつ頃来そうなのか判るので読書なんかも始める。
読みかけの小説は筒井康隆の「聖痕」というもので、中学生の頃に友人の影響を受けて読み始めた文豪の文章は少し離れたものの刺激は相変わらず大きい。
入院していなければ時間の無さにかまけて拝読が進まないが、一気に後半を読み終え溜飲が下がった。
次は「ボディ・ナビゲーション。」コーチングも生業にするため、中途半端な知識が多かったところに、20年来レースを通して友人のビンセント・フラ△ガンさんに勧めてもらった本が購入されたままになていたものを差し入れてもらい、通読。
この頃になると睡眠不足なのか睡眠過多なのか判らない状態で、頭の痛い時には寝ずに読書、痛くない時には睡眠をとるというパターンを確立できていたし、食事も5分粥を完食しフルーツまで平らげられるようになっていた。数時間おきに着替えなければならないくらいの発汗。発症1日、8日目のことだ。それでも高体温は維持されたまま。身体は闘っている。
9日目。幸いなことに体温が急下降。半日ほどかけていきなり平温へ。それでも通常は低体温気味なので少々の微熱は伴っていたのか。頭痛の主体はなくなり、尾を引いている程度にまで改善された。さざ波程度の目に見える波は心地良く、癒やしてくれるほどだ。偉大なり人間の身体。ワクチン無しで遂にウイルスに打ち勝ち、体外への排除をも完了。発汗もほぼストップ。
それまで身体を拭くことも億劫だったが、入院して初めてシャワーを浴びた。
担当医が飛んで来て「速かったですね、もう大丈夫。」と告げるが、そんなことは解ってる。
「漢方が良かったかな〜」の一言に少し苛立ちを感じながらも、清々しさはこの上ない。
ただ、立位のフラツキ加減は予想以上で、ばあちゃんの苦しみの一端は理解できた。筋力が無いとはこういうことか。
発症10日目、入院8日目にして退院。もうこんな経験は懲り懲りだが、何事にも代えがたい経験は積ませていただいた。ご迷惑をお掛けした皆様、謝罪とともに感謝を。ありがとうございました。
そしてまだ言葉では伝えてませんが最大限の謝辞をヨメさんに。